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Working Paper(PP)

Working Paper(通称WP、ワーペ)は作業文章と呼ばれるものでDR(決議案)を作成する過程で提出、共有する文書のことです。

実際の国連でもそうですが、事前に事務方が自分たちの政策資料を作成したり、原案を作って会議に臨みますよね。それらの作業文書を共有することがWPの提出だと思ってください。

WPは公式文章に分類されますので、文書の言語指定が英語であれば英語で作成するのが原則です。DRWP(つまりDRの原案)が主流で、その名の通り見た目も中身もDRと同じものですが、文書番号がWPなのかDRなのかで異なります。


ちなみにワーキングペーパーのほかにワーキングメモと呼ばれ、最近はWPのことを間違ってそう呼ぶ大使がいますが、ワーキングメモとは本来はメモ回しのメモのことを言うのが一般的です。

DRとWPの違い



●提出条件

DR提出には「12か国以上」といったようにスポンサー国数の条件があり、その数の国が集まらないとDRを提出することができません。

一方で、WPはその条件に満たなくても提出することができますし、本来は1か国でも提出することができます。

ただ、全か国が自由にWPを提出するとそれだけで会議は膨大な時間を要するため、「個別のWPを受け取らない」もしくは「DR提出時にスポンサーが足りない場合にのみWPを代替として認める」といった制限がかかることが一般的です。

●スポンサーの兼任

DRWPの共同提出国をスポンサーと言いますが、WPはスポンサーの兼任が可能、つまり1つの国が複数のWPのスポンサーになることが許されています。WPはあくまでも作業段階、交渉段階のものなので、その時点では複数のWPに名前を載せることは問題ありません。

一方で、DRは採択投票の対象になっているためスポンサーの兼任が認められません。つまり、各国ともスポンサーとして名前を載せることができるのは1つのDRだけです。

WP時点で複数スポンサーをしている国はDRの時点ではどちらか片方に絞らなくてはなりません。WP時点では2つだったグループがDR提出時には1つになるということも当然あり得ます。

●修正案の提出

修正案(アメンドメント)の提出はもともとDRが提出されていることが条件です。

あくまでもDRが修正案に進化するのであって、WP自体には修正案に進化する能力がありません。WPのグループはそれだけでは修正案になることはできず、他のDRに組み込んでもらわなければ修正案になれません。




●投票の対象

DRは決議案ですが、WPはあくまでも作業文章です。議場に提出されているDRは投票、採択の対象になりますが、WPは提出されていても投票に付されません。

WPを提出するとき

WPの提出は主に以下の3つのケースで行われます。

会議冒頭で自国が準備してきた政策を議場に配布する場合

会議細則で認められている場合は、会議の冒頭もしくは最中にモーションを出して、自国の政策を議場全体に配布し、共有します。

会議の冒頭から文書を出せる国はそう多くはないので、会議をリードするうえで有効な手段です。

ただし、個々のWPを認めると、希望国が多い場合その提出手続きだけで大変な時間を要するため、個別のWPペーパーを受け取らないと設定している会議もあります。


DR提出の前にWP提出というステップが設定されている場合

全日本大会や大きな大会では、DR提出の前にWP提出を設定することがあります。つまり、WP→DR→修正案と3段階で進んでいくわけです(1日会議の場合はWP→DRというステップで終わることもあります)。

この場合、WPであってもスポンサー数の条件が付いていることがあります。

DRの前にWP提出を求めるのは、小さいグループでまずはしっかりと国益に沿ったDRを作成し、スポンサー兼任も認めながら質の高い会議行動を求めるためです。


DR提出時に必要な数のスポンサーが集まらず、代わりにWPとして提出する場合

これはどうしてもスポンサー国が必要数集まらず、DRの代わりにワーキングペーパーという形で提出するというときです。

例えば、安保理改革ではP5と言われる常任理事国が、その他の国と国益がぶつかってしまうため、なかなかDRグループが形成できません。そこで、必要なスポンサー数は集まっていないけれども、イギリスが音頭をとって常任理事国でとりあえずはワーキングペーパーとして提出するということを行ったことがあります。

ワーキングペーパーはあくまでもDRではないので、その後の交渉で他のグループと折衝してコンバイン(DRをくっつける作業)しないといけないのですが、第1段階の提出では安易に妥協せず、国益を守るために数は満たなくてもWPで対応するというような行動に出ました。

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