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コミュニティーカレッジを知ろう その1

コミュニティーカレッジ

いわゆる「コミカレ」と言われるものですね。「短大」と言うよりは、高等教育の開放のために設立された「地域型2年制大学」という感じです。名の通り、生徒の大半は地域の住民もしくは留学生です。

コミカレと一言で言っても、その中身はいろいろあって、大学編入を見据えたアカデミックな授業もあれば、生涯学習のような授業、移民のための教育を展開するものもあります。

AACC(American Association of Community Colleges)の掲げるミッションの中にも
「社会の全ての層の人々に教育を開放する」「地域に根付いた高等教育機関として地域のために奉仕する」といった趣旨の文言が載っています。

私もサンフランシスコのコミカレ(City College of San Francisco)で1学期間英語の授業のTAを行いましたが、そこは移民や生涯学習のための英語の授業でした。英語の映画を使ったリスニングの授業で、学習成果云々より、楽しく学び、英語に慣れ親しんでもらうのが目的です。

いわゆるNon-Credit(単位なし)の授業です。コミカレにはこのようなNon-Creditの授業が40%ぐらい展開されています。実にバラエティに富んだ授業展開になっています。

下は18歳のペルー人、上は70歳ぐらいの韓国人女性、また何人か日本人駐在員の付添できている奥さん方もいました。それもコミカレの一面です。



(AACCのホームページ)

コミカレの歴史

20世紀を迎えるに当たり、グローバル化&近代化が進み、アメリカでも「技術や教養を持った新たな働き手の育成」が課題となりました。

しかし、当時は高校卒業者の4分の3が高等教育に進まず、それ以上の教育訓練を受けることはありませんでした。特に、職を持っている人にとって、場所の遠い大学に通うヒマもお金もありませんでした。

そこで、まず地域の高校がコミュニティーサービスの一環として、授業を行うようになります。その草の根的な存在がイリノイ州ジョリエットにある公立高校です(現Joliet Junior College)。そこでの授業は職業訓練であったり、市民教育だったりしました。

初期のコミカレは小規模で、150人の規模を超えることは珍しかったと言います。

コミカレの貢献は、大学教育が縁遠かった一般の市民、とりわけ女性にも高等教育の機会を開放したことです。


コミカレと経済効果

2012年のデータですが、AACCはコミカレがアメリカ経済に与える貢献額を8090億ドルと算出しています(1ドル=110円として89兆円)。アメリカのGDP全体の5.4パーセントに当たる額です。税収としては2850億ドルのプラスだということです。

コミカレで教養やスキルを得た卒業生が社会に出て、稼いで、消費して、税金を払って、というお金の流れの中で、それだけのプラスが生じているということです。

これらの数字をどこまで真に受けるのかは別として、このことからも、コミカレは教育の開放という点で中心的な役割を果たしているだけでなく、経済への波及という点からも、アメリカ社会とは切っても切れない存在なのです。


AACCのデータから見る

コミュニティカレッジの数

   総数 州立 私立 その他 
 全米 1108 982 90 36
 カリフォルニア州 119 114 5 0
 テキサス州 70 67 3 0
 ニューヨーク州 59 43 16 0

ちなみに、地図で見るとこんな分布です。

(AACCホームページより)

学生について

  • コミュニティカレッジに通う生徒は1230万人
  • クレジットコース(成績あり)の学生が60%(730万人)
  • フルタイム学生は38%(280万人)、パートタイムが62%(450万人)
  • 留学生は全体の7%

詳しくは、以下をご覧ください。(画像をクリックするとPDFが開けます)



参考資料

  • American Association of Community College 『2016 Fact Sheet』

ホームページ

  • American Association of Community College

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